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しょうじょじごく
少女地獄
夢野 久作
「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页
森の外の国道には、室内照明を消した幌自動車が、三人の若い芸妓さんを乗せて、ヒッソリと待っておりました。それに気が付きました私は、手提袋を腰に結び付けて、黒い風呂敷で手早く覆面をしますと、三人が自動車に乗り込まれるとほとんど同時に夕暗に紛れながら、スペヤ・タイヤの処へ飛付いて、小さく跼まりながら揺られて行きました。そうしてその自動車の行先が、私の想像通りに温泉ホテルである事がわかりました時の、私の安心と満足……冒険心と好奇心……それはどんなにかドキドキワクワクしたものでしたろう。私の復讐は何もかも最初から、温泉ホテルを目標にして、研究して、計画しておったものですから……。そうして、それがもう第一日の一番最初から、ぐんぐん思い通りに、運んで行き始めたのですから……。
けれども私が一寸した思い付きから、あんな悪戯をしました時に、自動車の中の方々が、どんなにかビックリなすった事でしょう。
あの自動車がシボレーのオープンでありました事は、ほんとに天の助けだったかも知れません。その上に私が、偶然に、安全剃刀の刃を用意しておりましたのは、これこそ一つの奇蹟だったかも知れません。