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しょうじょじごく
少女地獄
夢野 久作
「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页
「……ホホホ……ハハハハハハ……ヒヒヒヒヒヒ……」
部屋の中が、私の笑い声に連れて総立ちになりました。
「あれエ――ッ……」
「きゃあア――あッ……」
「……誰か来てエ――ッ……」
と口々に悲鳴をあげながら逃げ迷うて、他人の着物を引抱えながら馳け出して行く女……そのまま入口の方へ転がり出る女……気絶したまま椅子の上に伸びてしまう人……倒れる椅子……引っくり返る卓子……壊れるコップや皿小鉢……馳けまわる空瓶の音……。
……真夜中に三階の屋根の軒先から、逆様に髪毛を垂らして笑っている女の首を御覧になったら、誰でも人間とは思われないでしょう……。
それが間もなくシインと鎮まりますと、あとには校長先生と同じに、私と睨み合ったまま、棒立ちになっておられる殿宮視学さんと、川村書記さんが残りました。その世にも滑稽な姿のお三人の顔を見廻わしますと、私は今一度、思い切った高い声で、心の底から笑いました。
「ホホホホホ……オホホホホホホ……私が誰だか、おわかりになりまして……?……校長先生……殿宮さん……川村さん……火星の女ですよ……オホホホホホホホホ……イヒヒヒヒヒヒヒヒ……アハハハハハハハハ……」