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しょうじょじごく
少女地獄
夢野 久作
「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页
僕は茶目だったからなあ。お宅はどこだい」
「下六番町の十二番地。奥さんはトテモ上品でお綺麗な、九条武子様みたいな方ですわ。久美子さんと仰言ってね。先生をトテモ大切になさるんですよ。仲がよくってね……」
「アハハハ。何でもいいから、そのうちに……きょうでもいいから一度、君から電話かけといてくれないかね。臼杵がお眼にかかりたがっているって……」
「……まあ。妾なんかが御紹介しちゃ失礼じゃございません……?」
「なあに構うものか。白鷹先生なら、そんな気取った方じゃないんだよ」
そう言って私は姫草ユリ子に頭を一つ下げた。
彼女は、そう言う私の顔をすこし近眼じみた可愛い瞳でチョット見上げていたが、何故か多少、悄気たように俛首れて軽いタメ息を一つした。聊か怨めしそうな態度にも見えたが、しかし私はソレを彼女独特の無邪気な媚態の一種と解釈していたので格別不思議に思わなかった。
「……でも妾……看護婦風情の妾が……あんまり失礼……」
「ナアニ。構うもんか。看護婦が紹介したって先生は先生同士じゃないか。白鷹先生はソンナ事に見識を取る人じゃなかったぜ」
「ええ。そりゃあ今だって、そうですけど……」