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しょうじょじごく
少女地獄
夢野 久作
「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页
一体……また、機械屋の小僧と喧嘩でもしたのかい」
「いいえ。だって先生。明日は十月の三日でしょう」
「馬鹿だな。十月の三日が気に入らないのかい」
「ええ。だって毎月三日が庚戌会の期日じゃございません」
「あ……そうだっけなあ。忘れていたよ」
「まあ。そんなところまで白鷹先生とそっくり。先生は庚戌会へお出でになりませんの」
「ウン。白鷹先生が行くんなら僕も行くよ」
「この間お約束なすったんじゃございません」
「イイヤ。約束なんかした記憶はないよ」
「まあ。そんならいいんですけど……」
「どうしたんだい」
「ツイ今しがた、白鷹先生からお電話が来ましたのよ。臼杵先生はまだ病院にいらっしゃらないのかって……」
「オソキ病院のオソキ先生ですってそう言ったかい」
「まあ。どうかと思いますわ。いつも午前十時頃しかいらっしゃいませんって申しましたら、きょうは風邪を引いて寝ちゃったから、庚戌会へは失敬するかも知れないって仰言るんですね。妾キッと先生とお約束なすってたのに違いないと思って腹が立ったんですよ。何とかして会って下さればいいのに……」
「そりゃあ会おうと思えば訳はないよ。しかし妙に廻り合わせが悪いね」