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しょうじょじごく
少女地獄
夢野 久作
「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页
その姫草ちゅう小娘は、君の病院を中心にして方々と連絡を保っとる有力な奴かも知れんてや」
「ウ――ム。それはそう思えん事もないが、しかし僕の眼には、ソンナ気ぶりも見えないぜ」
「見えちゃあタマランてや。君等のようなズブの素人に見えるくらいの奴なら、モウとっくの昔に揚げられてブランコ往生しとるてや」
「フ――ム。そんなもんかなあ」
「とにかくその娘ん子は吾々の手に合うシロモノじゃないわい。第一、今のような話の程度では新聞記事にもならんけにのう。今から直ぐに特高課長の自宅に行こう」
「エッ。特高課長……」
「ウン。しかし仕事は一切吾々に任せちくれんと不可んばい。悪うは計らわんけにのう」
「何処だい特高課長は……遠いのかい」
「知らんかアンタ」
「知らんよ」
「知らんて、君の自宅の隣家じゃないか」
「エッ。隣家……」
「うん。田宮ちゅう家がそうじゃ。迂闊やなあ君ちゅうたら……」
「俺が赤じゃなし。気も付かなかったが……」
「その何草とか言う小娘は、君の家よりもその隣家が目標で、君に近付きよるのかも知れんてや。それじゃから俺は感付いたんじゃが……」
「成る程なあ。その田宮ちゅう男なら二、三度門口で挨拶した事がある。