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しょうじょじごく
少女地獄
夢野 久作
「少女地獄」黒白書房、1936(昭和11)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 105,174 字 · 206 页
瓦斯を引く時にね。人相の悪い巨きな男だろう」
「ウン。それだ、それだ。知っとるならイヨイヨ好都合じゃ。直ぐに行こうで……チョット待て、支局から電話をかけて置こう」
話はダンダンと急テンポになって来た。話のドン底が眼の前に近付いて来たようであるが、果してそのドン底から何が出て来るであろうか。
私は何となく胸を轟かしながら宇東と一緒にタキシーに飛び乗った。
田宮特高課長は、もうグッスリ眠っていたそうであるが、職掌柄、嫌な顔もせずに二階の客間で会ってくれた。
長脇差の親分じみた、色の黒い、デップリとして貫禄のある田宮氏は、褞袍のまま紫檀の机の前に端然と坐って、朝日を吸い吸い私の話を聞いてくれたが、聞き終ると腕を組んで、傍の宇東記者をかえり見た。つぶやくように言った。
「赤じゃないかな」
それを聞いた時、私はまたもドキンとさせられた。思わず膝を進めながら恐る恐る尋ねた。
「赤としたらどうしたらいいでしょうか」
田宮氏は冷然と眼を光らせた。
「引っ括って見ましょうや」
「……エッ……引っ括る……どうして……」
「明朝……イヤ……今朝ですね。夜が明けたら直ぐに刑事を病院に伺わせますから、それまでその看護婦を逃がさないように願います」