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しょうねんとあきのひ

少年と秋の日

小川 未明

「児童文学」1935(昭和10)年11月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 2,765 字 · 6 页

青空文庫

「君、なにかさがしているの?」と、後方で、声がしました。おどろいて振り向くと、知らない子が立っていました。

「りゅうのひげなら、あすこにたくさんあるよ。ぼくもりゅうのひげの実を取りにきたのだ。」と、知らない子が、いいました。

「りゅうのひげ?」

「ああ、りゅうのひげさ、君、まだ知らないの?」

「僕、りゅうのひげの実を見たことがないよ。」と、正吉くんはいいました。

知らない子は、先になって駆け出しました。

「君、ここに、こんなになっているだろう。」と、足もとのしげった草の中をさしました。そこにも、冷たい秋の風はあって、細くて長いひげのような草の葉を動かしていました。

なるほど、手で草をわけてみると、濃紫の小さい美しい実が、重なり合うようにしてなっていました。

「僕の妹が、ほしいというので、僕、さがしにきたのだ。」と、知らない子は、いいました。

「君は、りゅうのひげの実を取りにきたのかい。僕は、ボールをなくしたので、さがしているのだ。」と、正吉くんは、いいました。

「そうか、あったかい。ないの? 僕、さがすのは、とてもうまいんだぜ。」

知らない子は、りゅうのひげをポケットに入れて、それから、ボールをさがしてくれました。