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やまのかみさつじん
山の神殺人
「講談倶楽部 第五巻第一〇号」1953(昭和28)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,014 字 · 21 页
神様をだます人々
平作の語るところによると、こうである。
その日は暮れ方から降りだした雨が、平作の立ち去るころにはドシャ降りになっていた。平作の家は町からかなり離れていて、小さいながらも一山越えなければならない。
平作はチョウチンを持ち先頭に立って山径を歩いた。どうにも一列でしか通れない道だ。ドシャ降りではあるし、お加久はお題目を声はりあげて唱えつづけているしで、ほかの物音はきこえない。平作は滑る山径を歩くだけが精一パイであったが、ようやく登りつめたところでふと振向いてみると、後にしたがってるのはお加久と兵頭だけで、不二男の姿が見当らない。
「オレのすぐ後が不二男の順であったが、まさか突然姿が掻き消えたわけではあるまい」
「坂の途中で小便の様子だから通り越して来たんですよ」
「バカヤロー。不二男の策にはまってズラカられたのだ。それで死神を落してやるの、性根を叩き直してやるのと、気のきいたことができるものか。もうキサマらに用はないから、とッととどこへでも消えてなくなれ。不二男の奴、もう、カンベンならねえ。警察で勘当の話をつけてもらう」
平作はジダンダふんで警察へ戻ってきたのである。