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いけぶくろのみせ

山之口貘詩文集

山之口 貘

山之口貘『山之口貘詩文集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:池袋の店、沖縄帰郷始末記、おきなわやまとぐち、声をあげて泣く、詩とはなにか、装幀の悩み、つまり詩は亡びる、夏向きの一夜、野宿、暴風への郷愁、私の青年時代、ダルマ船日記、チャンプルー。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 44,477 字 · 93 页

青空文庫

引返すことはすでに不可能なことであり、いまとなっては飛び込む横丁もない始末なのである。

そういうぼくにとって、出来ることはただ一つ、詩を読んでもらいたいと、答えの代りにおすすめするより外にはないのである。

いかにも、ずるいみたいであるが、やむを得ないわけで、詩とはそういう風にして自分の手でさわり、自分の眼で見てわかるものなのであって、問いに対する答えを待っていたのでは、何年経っても実感としてはわからないのではなかろうか。

ぼくが詩を書くようになったのは、詩とはなにかということ、それがわかっての上で書いたのではなかった。わかっていたにしてもそれは、小説よりもうんと短いもの、そして、一行一行が行わけにして書かれたもの、それが詩であるぐらいの程度なのであったが、その程度のことも、当時の生田春月の詩から得たところの実感なのであった。詩を象にたとえて見るならば、詩人は群盲なのかも知れない。

それでも手にふれてはじめて知ったそれが、行わけの短い形であったということはいわば詩のしっぽか足の皮であったかもしれないが、それを手がかりにぼくは詩の世界に足をふみこんだのである。