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いけぶくろのみせ

山之口貘詩文集

山之口 貘

山之口貘『山之口貘詩文集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:池袋の店、沖縄帰郷始末記、おきなわやまとぐち、声をあげて泣く、詩とはなにか、装幀の悩み、つまり詩は亡びる、夏向きの一夜、野宿、暴風への郷愁、私の青年時代、ダルマ船日記、チャンプルー。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 44,477 字 · 93 页

青空文庫

ぼくの経験によると、人間は生きていると、あっちもこっちもかゆいのである。生活を見てもそうなのであって、かゆかったり痛かったり、痛がゆかったりで、なんとかしなくてはならないことばかりである。

ぼくはかつて次のような「座蒲団」という詩を書いたことがある。

土の上には床がある

床の上には畳がある

畳の上にあるのが座蒲団でその上にあるのが楽といふ

楽の上にはなんにもないのであらうか

どうぞおしきなさいとすゝめられて

楽に坐つたさびしさよ

土の世界をはるかにみおろしてゐるやうに

住み馴れぬ世界がさびしいよ

この詩は題の示すように、座蒲団を取り扱った詩であるが、作者がいかに座蒲団とは縁の遠い生活をしていたかがうかがわれるのではないかとおもう。上京してから何年というほど屋外に住んでいた浮浪者のぼくが、就職の件で先輩の家を訪ねて、久し振りに座蒲団の上に坐ったのであったが、自分ながらあの頃の生活のかゆさがおもい出されるのである。

またぼくはある時間を、汲取屋になって生きた。むろん好んでのことではなかったが、自殺の見込みのないぼくにとっては、なんでもするより外にはなかったのである。