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いけぶくろのみせ

山之口貘詩文集

山之口 貘

山之口貘『山之口貘詩文集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:池袋の店、沖縄帰郷始末記、おきなわやまとぐち、声をあげて泣く、詩とはなにか、装幀の悩み、つまり詩は亡びる、夏向きの一夜、野宿、暴風への郷愁、私の青年時代、ダルマ船日記、チャンプルー。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 44,477 字 · 93 页

青空文庫

たとえ文明の方向が人間を殺したり、生かしたりしてもそれは人類の方向を美しく表現するための、個人的な現象にしかならないのだ。つまり僕らには、個人の死は考えられても、人類の滅亡は考えられない。しかも、個人の場合に於ては、死を前提にしていながら生きるようなものであるとも言えるのであるが、人類の生死は、僕だけでなく人類総がかりになって考えても計り難いことなのだ。

詩の概念もまた、僕らには、人類の概念と等しいものでなくてはならないのだ。

詩が亡びるということは、詩が亡びるということの意味をなさない。そのような個人の言動や生死如何に依らず、亡びることなど知りもしない人類と同時しつづけているのが詩なのである。即ち、詩と人類とはぐるになっていて、誰が何と言おうが地球を振ら提げて生きる一方なのだ。

僕は或る人が、詩よさよなら、と言ったことを知っている。詩を経験し詩を知っている人は、さすがに詩に対する礼儀をわきまえていると見えて自分の身をひくのであるが、詩に就て、その可能不可能の限界を持っていない人は自分には詩は解らないと率直に引き下るべきであって、一体どこを向いているのであろうかと人に思わせるようなポーズで詩を見ていては、つまり詩は亡びる。