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やまもとゆうぞうしのきょうち

山本有三氏の境地

宮本 百合子

「文芸」1937(昭和12)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,155 字 · 32 页

青空文庫

「波」で作者は、子供は要するに社会の子として見るべきであり、親子の関係はメデシンボールのようなものだ。「落さないように、よごさないように次の人に手渡すのが第一だ」という結論に到達した。五年ばかりの年月は、「女の一生」において更に自分の期待を裏切られた親を、株ですった人間の落胆に比較せしめている。允子の失望に対して、往年の幼馴染、昌二郎は云っている。

「(前略)子供の出来がいい。それで投無の金をつぎ込んで大学へあげる。子供の出世を夢見ていたところが子供は横道へそれてしまった。思惑ががらりと外れたんであんな風になったんじゃないんですか。株に失敗して気が違う人間がよくありますが、あれもまあそれと似たり寄ったりらしいですね。息子に投資して値上りを待っていたら突然ガラを食ったというようなものでしょう。」

地道な子を育てようとして、そう行かなかったとしてそれは母だけの罪ではないことを作者は認めている。子供のことはもう家庭の中でだけ解決した時代が過ぎた。そのことをも作者は認めている。だが、所謂、それた若い者たちの、そのそれる必然の事訳が、世間並のよしあしとどんな道義的関係にあるものかという読者にとって最も知りたい点を、作者山本有三は、「若い者は誰も登ったことのないような高い山に登りたがるものでしてね」