轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
くずれるおにかげ
崩れる鬼影
海野 十三
「科学の日本」博文館、1933(昭和8)年7月~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,100 字 · 69 页
それから沈黙の数分が過ぎてゆきました。その間というものは建物の中がまるで死の国のような静けさです。
「オイみんな。元気を出せ」と警部が低いが底力のある声で云いました。「この機に乗じて一同前進ッ」
警部は左手をあげて合図をすると、自ら先頭に立ってソロソロと匍い出しました。ゆっくりゆっくり戸口の方へ躙り出てゆきます。息づまるような緊張です。
「オヤオヤ」
戸口のところまで達すると、警部は意外な感に打たれて身を起しました。
「どうしましたどうしました」
私も警官たちと一緒にガタガタと靴を鳴らして戸口へ飛び出しました。外は水を打ったように静かな眺めです。月光は青々と照り亙り、虫がチロチロと鳴いています。まるで狐に化かされたような穏かな風景です。
「居ないようだネ」と警部が云いました。その声から推して大分落着いてきたようです。「では全員集まれッ」
全員は直ちにドヤドヤと整列しました。私は恥かしかったので、横の方で気を付けをしました。
「番号ッ」
一、二、三、……と勇しい呼び声。
「オヤ、一人足りないじゃないか」
「一人足らん。誰が集まらんのだろう」
警官たちは不思議そうに、お互いの顔をジロジロ眺めました。