轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こうじょうさいぼう

工場細胞

小林 多喜二

小林多喜二『工場細胞』。同一底本的分册已合并为一书。收入:工場細胞、独房、母たち。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,234 字 · 184 页

青空文庫

と云って喜んでいた。

「お前さん、いゝ処に入れてもらったよ。」と云われた。

そこは隣りの家がぴッたりくッついているので、留置場の中へは朝から晩まで、ラジオがそのまんま聞えてきた。――野球の放送も、演芸も、浪花節も、オーケストラも。俺はすっかり喜んでしまった。これなら特等室だ、蒸しッ返えしの二十九日も退屈なく過ごせると思った。然し皆はそのために「特等室」と云っているのではなかった。始め、俺にはワケが分らなかった。

ところが、二日目かに、モサ(スリのこと)で入っていた目付のこわい男が、ニヤ/\してながら自分の坐っている側へ寄って来てみれと云った。俺は好奇心にかられて、そこへズッて行くと、

「あすこを見ろ。」

と云って、窓から上を見上げた。

俺はそれで「特等室」の本当の意味が分った。

高い金棒の窓の丁度真ッ上が隣りの家の「物ほし」になっていて、十六七の娘さんが丁度洗濯物をもって、そこの急な梯子を上って行くところだった。――それが真ッ下から、そのまゝ見上げられた。

その後、誰か一人が合図をすると、皆は看守に気取られないように、――顔は看守の方へ向けたまゝ、身体だけをズッて寄って行くことになった。