轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

こうじょうさいぼう

工場細胞

小林 多喜二

小林多喜二『工場細胞』。同一底本的分册已合并为一书。收入:工場細胞、独房、母たち。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,234 字 · 184 页

青空文庫

八

然しその眼は明かに誰かを探がしていた。彼は思わずハンカチを握っている掌に力が入った。

男が寄ってきた。で彼も何気ない様子を装って、その男と同じ方へ歩き出した。彼から口を切った。

――山田です。

すると、背広の男は直ぐ

――川村。

と云った。

「山」と「川」が合った。二人は人通りのあまり多くない河端を下りて行った。少し行くと、男が、

――何処か休む処がないですか。

と云った。

――そうですね。

河田は両側を探して歩いた。そして小さいレストランの二階へ上った。

テーブルに坐ると、男がポケットから三銭切手を出した。その 3sn の 3 がインクで消されていた。河田もさっきの三銭切手を出して、その sn の方を消した。二人は完全に「同志」であることが分った。――男は中央から派遣されてきた党のオルガナイザーだった。

河田はY地方の情勢や党員獲得数などを、そこで話し出した。

八

鈴木は少しでも長く河田や石川などゝいることに苦痛を覚えた。彼は心が少しも楽しまないのだ。誇張なしに、彼は自分があらゆるものから隔てられている事を感じていた。そしてその感情に何時でも負かされていた。