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こうじょうさいぼう

工場細胞

小林 多喜二

小林多喜二『工場細胞』。同一底本的分册已合并为一书。收入:工場細胞、独房、母たち。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,234 字 · 184 页

青空文庫

と云ったことがある。

会社では、職工たちが左翼の労働組合に走ることを避けるために、内々佐伯たちを援助して、工場の中で少し危険と見られている職工を「労働総同盟」に加入させることをしていた。それは森本たちも知っている。――然しその策略は逆に「H・S」の専務は実に自由主義的だとか、職工に理解があって、労働組合にワザ/\加入さえさせているとか――そういうことで巧妙に隠されていた。それで働いている多くの職工たちは、その関係を誰も知っていなかった。工場の重だった分子が、仮りに「社民系」で固められたとすれば、およそ「工場」の中で、労働者にどんな不利な、酷な事が起ろうと、それはそのまゝ通ってしまう。分りきったことだった。――森本は其処に大きな底意を感ずることが出来る。会社がダン/\職工たちに対して、積極的な態度をもってやってきている。それに対する何かの用意ではないか? ――彼はます/\その重大なことが近付いていることを感じた。

彼はまだ「工場細胞」というものゝ任務を、それと具体的には知っていない。然し彼は今までの長い工場生活の経験と、この頃のようやく分りかけてきたその色々な機構のうちに、自分の位置を知ることが出来るように思った。