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こうじょうさいぼう

工場細胞

小林 多喜二

小林多喜二『工場細胞』。同一底本的分册已合并为一书。收入:工場細胞、独房、母たち。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,234 字 · 184 页

青空文庫

張り上がった音が縫って……ごっちゃになり、一つになり、工場全体が轟々と唸りかえっていた。鍛冶場の火焔が送風器で勢いよく燃え上ると、仕上場にいる職工の片頬だけが、瞬間メラ/\と赤く燃えた。

天井を縦断している二条のレールをワイヤー・プレーをギリ/\と吊したグレーンが、皆の働いている頭のすぐ上を物凄い音を立てゝ渡って行った。それは鋳物場で型上げしたばかりの、機関車の車輌の三倍もある大きな奴で、ワイヤー受けの溝をほるために、横穿孔機に据えつけるためだった。

――頼むどオ! 南部センベイは安いんだ!

身体を除けながら、上へ怒鳴っている。

――まず緊縮! 文句云うな。手前一人片付けば、サバ/\するァ!

ハンドルを握っていた職工が上で唾をひッかける真似をした。

――畜生々々!

下のは大ゲサに横へ跳ねた。

――上から見れア、どいつもこいつも薄汚くゴミ/\してやがる。

――少し高いところさ上ったと思って、可哀相に畜生、すぐブル根性を出しやがる。

――ヘン、だ。手前らを顎で一度は使っても見たくならァ。

横ボール盤の側に、四五人の職工とパンパン帽をかぶった職長が集って、ワイヤー・プレーを跛に吊したグレーンがガラ/\と寄ってくるのを見ていた。