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こうじょうさいぼう

工場細胞

小林 多喜二

小林多喜二『工場細胞』。同一底本的分册已合并为一书。收入:工場細胞、独房、母たち。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 91,234 字 · 184 页

青空文庫

が一緒になれば、日本に於ける製罐業を安全に独占出来るのだった。――その製品を全国的に「単一化」して生産能率を挙げることも、技術や工場設備の共通的な改良整理も出来、人員の節約をし、殊にその販売の方面では、今迄無駄に惹き起された価格の低下を防いで、独占価格を制定し思う存分の利潤をあげることも出来るのだった。――だから、三田銀行が今迄とっていたような「単純な支配」ではなしに、金菱が積極的に事業そのものゝ中に、ドカドカと干渉してくることは分りきっていた。――これは職工たちの恐れていた「産業の合理化」が直接に、そして極めて惨酷に実行されることを意味していた。工場はその噂でザワめいていた。

然し問題はもっと複雑だった。

――今度のことでは、君、専務や支配人、工場長こいつ等の方が蒼白になってるんだぜ。

と、引継のために新しい銀行に提出する書類の作成で、事務所に残って毎日夜業をやらせられている笠原が云った。

――金菱では自分の系統から重役や重だった役員を連れてきて、あいつ等を追っ払う積りらしいんだ。然しあゝなると、あいつ等も案外モロイもんだ。――然し問題は面白くなるよ。