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ばくまついしんかいこだん

幕末維新懐古談

高村 光雲

63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,640 字 · 15 页

青空文庫

重なり合った町家の屋根からずっと空へ抜けて胸から以上出ております。空へ白い雲が掛かって笊を植えた大きな頭がぬうと聳えている形は何んというて好いか甚だ不思議なもの……しかし、立派な大仏の形が悠然と空中へ浮いているところは甚だ雄大……これが上塗りが出来たらさらに見直すであろうと、一層仕事を急いで、どうやら下地は出来ましたので、いよいよ、左官与三郎が塗り上げましたが、青銅の味を出すようにという注文でありますから、黒ッぽい銅色に塗り上げると、大空の色とよく調和して、天気の好い時などは一見銅像のようでなかなか立派でありました(この大仏に使った材料は竹と丸太と小舞貫と四分板、それから漆喰だけです)。

「どうも素晴らしいものが出来ましたね。えらいものを拵えたもんですね」

など見物人は空を仰いでびっくりしております。正味は四丈八尺ですが、吹聴は五丈八尺という口上、一丈だけさばを読んで奈良の大仏と同格にしてしまいました。そこで口上看板を仮名垣魯文先生に頼み、立派な枠を附け、花を周囲に飾って高く掲げました。こんな興業物的の方は友達の方が受け持ちでやったのでありました。

それから、胎内の方は野見の親父さんの受け持ちで、切舞台には閻魔の踊りを見せようという趣向。