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ばくまついしんかいこだん
幕末維新懐古談
高村 光雲
78 谷中時代の弟子のこと
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,224 字 · 16 页
の覚悟を話し、東京へ出て彫刻を三年間修業して来るから、その間留守をよろしくたのむ、子供のことをたのむと打ち明けました。妻女も夫の堅い決心を知っては強いて引き止めることも出来ず、では行ってお出でなさいまし、貴郎のお留守中は確かにお引き受けしました、どうか、錦を着て故郷へお帰りなさるよう、私は三年を楽しみにして待っておりますとの事に、雲海氏も大いに安心して東京へ出て来たのでありました(雲海氏に妻子のあったことは私は知らずにおった。故郷へ帰られる時初めて打ち明けました)。或る日、私の谷中の宅の玄関に案内を乞う人があるので、私が出て見ると、相当年輩の若い衆、丁寧に挨拶をして、何かいっているのであるが、どうも何をいっているかさらに分らぬ。しかし、自分を私の弟子にしてくれといっているようである。どうも私にはこの人のいってるお国言葉がちっとも分らない。その中懐から添え書きようの物を出したから、見ると、それは海野美盛氏からの添え状で、この人は自分の友人で、彫刻熱心の人であって、至って物堅く、懸念のない人であるが、万事は自分において引き受けるから、弟子にしてやってくれと認めてある。