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へいげんのきととり

平原の木と鳥

小川 未明

「黒色戦線 第2次」1931(昭和6)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,473 字 · 7 页

青空文庫

夏も、やがて、逝こうとする日のことでした。

「さあ、みんな飛んでごらん。あの野原の高い木のところまで!」と、母鳥は、三羽の子供たちに自由に飛ぶことを許したのでした。

いまは、一人まえとなった、三羽のほおじろが、野原の高い木立を目がけて飛び立ったのであります。そして、そのとき、村を見、また、町を見、あちらの地平線から白くのぞいた、海をはじめて見たのであります。

三羽の子供たちは、日の暮れるのも忘れて、あたりを飛びまわって、待ちに待った、自分たちの日がついにきたのを喜んだのでありました。そして、お母さんを思い出して、やぶの古巣に帰ってみると、どこにも、お母さんの姿は見えませんでした。

「おまえたちが、ひとりだちができるようになったときに、私は、お父さんの後を追ってゆくから……。」と、日ごろいった、お母さんの言葉が、ひとりでに思い出されたのです。そのとき、野原の上の空には赤い雲が火のように飛んで、その下には、黒く、かしの木が、巨人のようにそびえて見えました。