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へいまとうぐいす

平馬と鶯

林 不忘

「少年倶楽部」1927(昭和2年)2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,130 字 · 21 页

青空文庫

こうして敵をおびき出して逆にその裏をかいたのである。もとより橋の壊れたというのも敵の計で、乱闘中に結城方からの邪魔を入れないためにほかならなかったが、その番人も平馬の友達三人のためにすぐに押えられていた。

その夜明け、傷ついた鏡之介が、平馬の肩に縋って、あの鶯の宿にとどけられた。

そのお礼として千草は平馬に、いつかの鶯を呈したので、豪雄平馬、二羽の鶯を大事に飼うことになった。

この鶯の啼き交わす長閑な美しい声に結ばれて、さしも長い間わだかまっていた結城、下妻両藩の間の悪感情もとけて、それから後は、両藩の若侍たち、嬉々として邪念なく、和気靄々のうちに、正しく神前に勝負を争うことになった。武は勝たんがための武ではない。正しく生き、健かに明るくあらんがための武であり、剣であるということが、この二羽の鶯を見るたびに、いつまでも両藩の若侍たちの胸に力強くひびいたという。

平馬はもとから自分の飼っていた鶯を結城と呼び、千草鏡之介、兄妹から贈られた鶯を下妻と名づけて、毎年、筑波神社祭礼の奉納仕合の庭には必ずこの二羽の鶯を同じ籠に入れて、提げて行ったとのことである。