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ゆうれいやしきのさつじん
幽霊屋敷の殺人
山本 周五郎
「少年少女譚海」1930(昭和5)年9月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,339 字 · 19 页
謎の文字の苦心
「そうですか、怖いですね」
云いながら、何気なく龍介は鳥籠の扉に触れたとたんに、どうしたのか扉が明いて、
「ぎゃ! ぎゃ! ぎゃ!」と叫びながら大鸚哥が飛びだしたかと思うと、恐ろしい勢で龍介に躍りかかった。
「はっ!」と思って身を沈める、とたんに、幸いにも傍から松川理学士が素速く手を伸ばして、大鸚哥を抱きとめたので、龍介は怪我をせずにすんだ。
「ああ驚いた、凄いですねえ!」
さすがの龍介びっくりして、額の汗を拭きながら、苦笑をもらした。
謎の文字の苦心
その夜、春田家の晩餐には、一家が揃っていた上に、黄色金剛石頸飾事件の林田子爵も客にきていたので、賑やかだった。
「伯父さんに伺ったらわかると思うんですが」
晩餐後の珈琲を啜りながら、龍介がいった。
「伯父さんの家はたしか旧長谷川出羽守侯の藩士でしたねえ」
「そうだよ。何かあるのかね」
「長谷川侯の家老に、たしか勝浜という家老がいたはずですが、明治になってからどうなったか、ご存知ないですか?」
「ああ勝浜か、彼奴は悪者でねえ、藩侯の金を二万両ばかり、どこかに隠匿して逃げてしまったよ。ずいぶん探がしたが行方不明のままだった」