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ゆうれいやしきのさつじん

幽霊屋敷の殺人

山本 周五郎

「少年少女譚海」1930(昭和5)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,339 字 · 19 页

青空文庫

皇国の興廃此一戦

白堊館の見取図

松川理学士は、龍介を導いて博士の殺された書斎へ入った。

「ここで兄は殺害されたのです!」

「博士の死んでいたのはこの椅子ですね?」

「そうです、その椅子です」

「まだこの室は掃除してないでしょうね」

「ちっとも手をつけてありません」

龍介はすっかり緊張した容子で、博士の深椅子を中心にして、熱心に室内を調べはじめた。

椅子から卓子、書棚、煖炉。窓にいたるまで、猫のように這いまわって調べたが、なにも得られなかった。

「何か証拠になる物でもありますか」

松川理学士が待ちかねて訊いたが、しかし龍介はそれには答えないで、ふと入口の扉の上にある小さな廻転窓に眼をつけた。

それは小学校の教室の入口の扉の上にあるような、小さな廻転窓であった。

「ちょっとすみませんが下男をよんできて下さいませんか」と龍介がいった。

「呼んでまいりましょう!」理学士はすぐに去った。

松川理学士が去ると、龍介は鼠のように素早く、椅子をひきよせてその上に乗り、扉の上の廻転窓を調べた。

「あった!」小さく叫んで龍介が窓の枠から摘みあげたのは、黒い一枚の柔かい羽根だった。

皇国の興廃此一戦

「そろそろ緒口がみつかるぞ!」