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ゆうれいせんのひみつ
幽霊船の秘密
海野 十三
不詳
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,846 字 · 62 页
だが求めるボートの影は、どこにも見えなかった。
「おい、古谷君起きろ!」
船長は、傍に仆れている無電局長の身体をゆすぶった。
局長は、びっくりして跳ね起きた。
「おい、とうとう他のボートとはぐれてしまったらしい、それとも君には見えるかね」
「えっ、他のボートが見えないのですか。三隻とも見えませんか」
局長はおどろいたらしい。船長が望遠鏡をわたすと、彼はそれを眼にあてて、水平線をいくども見まわした。
「どうだ、見えるか」
局長は、それに対して返事もせず、その代りに望遠鏡を眼から放して、首を左右にふった。
「どこへいってしまったんだろうな」
船長は、ため息をついた。
「さあ、助かるには助かって、どこかに漂流しているんだとはおもいますが……」
局長はそういったが、しかしそれはなにも自信があっていったことではなかった。
ボートは西へ西へと流れていた。どうやら潮流のうえにのっているらしい。
「おい古谷君、無電装置を持ってこなかったかね」
と船長がきいた。
「はあ、持って来たことには来たんですけれど、駄目なんです。ゆうべ、ボートの中が水浸しになって、絶縁がすっかり駄目になりました。