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ゆうれい

幽霊

江戸川 乱歩

「新青年」博文館、1925(大正14)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,972 字 · 24 页

青空文庫

青年はニコニコしながら、さも無造作に説明するのだった。

「先日あなたからあの怪談ばなしを承わった時もその僕の癖で、これには何かからくりがありやしないかと考えて見たんです。お見受けするところ、あなたは御自分で幽霊を作り出す様な、そんな弱い神経の持主でない様に思われます。それに、御当人には御気附きがないかも知れませんが、幽霊の現れる場所がどうやら制限されているではありませんか。なる程、御旅行先などへついて来る所を見ると、如何にも何処へでも自由自在に現れる様に思われますが、よく考えて見ますと、それが殆ど屋外に限られていることに気附きます。仮令屋内の場合があっても、劇場の廊下だとか、ビルヂィングの中だとか、誰でも出入出来る場所に限られています。本当の幽霊なら何も不自由らしく外ばかり姿を現さないだって、あなたのお邸へ出たってよさそうなものではありませんか。ところがお邸へはというと、例の写真と電話の外は、これも誰でも出入出来る門の所で一寸顔を見せたばかりです。そういう事は、少し幽霊の自然に反していやしないでしょうか。そこで、僕は色々考えて見たのですよ。一寸面倒な点があって時間をとりましたが、でもとうとう幽霊を生どって了いました」