轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ゆうれい

幽霊

江戸川 乱歩

「新青年」博文館、1925(大正14)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,972 字 · 24 页

青空文庫

「辻堂の奴、とうとう死にましたよ」

腹心のものが、多少手柄顔にこう報告した時、平田氏は少からず驚いたのである。尤も大分以前から、彼が病気で床についた切りだということは聞いていたのだけれど、それにしても、あの自分をうるさくつけ狙って、仇を(あいつは勝手にそう極めていたのだ)うつことを生涯の目的にしていた男が、「彼奴のどてっ腹へ、この短刀をぐっさりと突きさすまでは、死んでも死に切れない」と口癖の様に云っていたあの辻堂が、その目的を果しもしないで死んで了ったとは、どうにも考えられなかった。

「ほんとうかね」

平田氏は思わずその腹心の者にこう問い返したのである。

「ほんとうに何んにも、私は今あいつの葬式の出る所を見届けて来たんです。念の為に近所で聞いて見ましたがね。やっぱりそうでした。親子二人暮しの親父が死んだのですから、息子の奴可哀相に、泣顔で棺の側へついて行きましたよ。親父に似合わない、あいつは弱虫ですね」

それを聞くと、平田氏はがっかりして了った。邸のまわりに高いコンクリート塀を繞らしたのも、その塀の上にガラスの破片を植えつけたのも、門長屋を殆どただの様な屋賃で巡査の一家に貸したのも、屈竟な二人の書生を置いたのも、夜分は勿論、昼間でも、止むを得ない用事の外はなるべく外出しないことにしていたのも、若し外出する場合