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じょにかえてじんせいかんじょうのしぜんしゅぎをろんず

序に代えて人生観上の自然主義を論ず

島村 抱月

「近代文芸之研究」1909(明治42)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,453 字 · 11 页

青空文庫

ニイチェが人生観の、本能論の半面にあらわれた思想も、一種の自然主義と見る人がある。それならこれもまたルーソーの場合と同しく、わが疑惑内の一事実を提示するに過ぎないのは言うを待たぬ。

ロシアの作者、ツルゲネフやトルストイにあらわれた虚無思想をもって最もよく人生観上の自然主義に当たるものと見る人もある。虚無思想の中心は、ツルゲネフの作が定義するところによれば、あらゆるものを信ぜず、あらゆる権威に抗争する点に存する。しかしこの思想を一の人生観として取り上げる時、そこに当然消極か積極かという問題が起こり来たらざるを得ないことは、すでにヨーロッパの論者が言っている通りである。而してその当然の解釈が、信ぜず従わずをもって単なる現状の告白とせず、進んでこれを積極の理想とするに傾くとすれば、これも私には疑惑圏内の一要素となるばかりで、最後の解決とはならない。

かくのごとくしていわゆる人生観上の自然主義も私には疑いの一面たるに過ぎない。