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ひかれていくうし

引かれていく牛

小川 未明

「こくみん三年生」1941(昭和16)年3月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,674 字 · 4 页

青空文庫

もうじきに春がくるので、日がだんだんながくなりました。晩方、子供たちが、往来で遊んでいました。孝ちゃんと、勇ちゃんと、年ちゃんは、石けりをしていたし、みつ子さんとよし子さんは、なわとびをしていました。

うす緑色の空に、頭をならべている木々のこずえは、いくらか色づいているように見えました。いろいろの木の芽が、もう出ようとしているのです。

ちょうど、このとき、あちらから黒いものが、こちらへ、のそり、のそりと歩いてきました。

「あれ、お牛よ。」と、いちばん先にみつけたよし子さんがいいました。

「どうしたんだろうね。」と、年ちゃんが、いいました。

子供たちの目は、みんなその方へそそがれました。そして、遊ぶのを忘れて、道ばたによって、通りかかる牛を見送っていたのでありました。

牛は、年をとっているように思われました。なぜなら、毛なみがうすくなって、若い時分のようにつやがなかったからです。それに、この牛は長いこと、田や、畠で働いていたか、それとも重い荷をつけた車を引いていたので、かたのあたりの毛はなくなって、皮が出ていました。これを見た子供たちは、いいあわせたように、