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ごちそうのはなし
御馳走の話
中谷 宇吉郎
正月の御馳走「東京新聞」1954(昭和29)年1月<br>感謝祭の七面鳥「山陽新聞」1954(昭和29)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,746 字 · 6 页
蜜柑はビタミンCの補給源で、はんぺんは魚肉蛋白質の最良の保存食品である、などとこの頃よくいわれる。
一方、社会学や民俗学風な説明では、日本の田舎における「嫁」の立場が論ぜられる。せめてお正月くらいは、少し身体を楽にさせるために、ああいう保存食品の形式が生まれ出たので、非常に賢明な風習であるという流儀の議論がそれである。
いずれも真相をそれぞれにとらえた論であるが、露伴先生のさりげない一言「あれが昔は御馳走だったんだよ」というのも、何となく心に沁みる言葉である。もっともこれは、一昔前の日本、とくに田舎での庶民の生活を味わった者でないと、そう深い感じは受けないかもしれない。
昆布巻にしても、数の子にしても、あれでなかなか美味いものであるが、現在の都市生活者にとっては、まず御馳走の部類にははいらない。何といっても、生きた伊勢蝦の刺身、鯛のうしお、鰻の蒲焼などというものとくらべては、一段下におかれても仕方がない。両方とも品質の水準を同じとしての話である。ふるくなって、少し匂いのついた鯛と、一級品の数の子とくらべれば、別の話になる。
それで思い出したが、現在「ごちそう」