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ごちそうのはなし
御馳走の話
中谷 宇吉郎
正月の御馳走「東京新聞」1954(昭和29)年1月<br>感謝祭の七面鳥「山陽新聞」1954(昭和29)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,746 字 · 6 页
二 感謝祭の七面鳥
(昭和二十九年一月一日)
二 感謝祭の七面鳥
戦後になって、勤労感謝の日などという下手な名前に変ったが、昔の新嘗祭というのは、なかなかよい名前であった。といっても何も復古調の波に便乗しているわけではなく、子供のころに耳なれた言葉はなつかしいという意味である。
アメリカにもこの新嘗祭があって、これは感謝祭と呼ばれている。秋の収穫を無事終ったことを感謝する祝日で、十一月の第三木曜日をあてている。この日は晩餐に七面鳥を食べる習慣になっているが、その他に薩摩芋の甘煮と、名前は一寸忘れたが何か決まった野菜とがつくことになっている。
アメリカが今日のような大国になったのはごく近世のことで、その以前のいわゆる開拓時代には、大部分の国民は、まだずいぶん苦しい生活をしていた。そのころに年に一度の御馳走とされていたものが、今日まで感謝祭の御馳走として残っているのであろう。
当夜はちゃんとした住宅やアパートに住んでいる人たちは、友人を招いて、自宅で七面鳥を食べる。これはたいへんな歓待ということになっている。そうでない人たちは、夫婦連れか、或いは友人を誘って、料理店へ七面鳥を食いに行く。