轻松读懂日语经典作品
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こころのアンテナ
心のアンテナ
佐々木 邦
「現代」大日本雄辯會講談社、1937(昭和12)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,973 字 · 27 页
「次第も何もない。二十五年前の話だ」
「二十五年とチャンと覚えていらっしゃるのが厭ですわね。毎年数えるんですか?」
「何でも構わない。おれはもう問題にも何にもしていないんだ」
「いゝえ。問題にしていればこそ、ついお口に出るんでしょう? 頭が禿げているくせに、何ですか?」
「禿げてなんかいない。少し薄くなったばかりだ」
「透けていますわ、豚の背中のように」
「煩い! 頭の話をしているんじゃない」
「物の道理を申上げているんですわ。年寄は年寄らしくなすったら宜いでしょう。真中が透けて釜敷のようになっているんですから、今更彼方にいればなんて仰有っても始まりませんよ」
「彼方にいれば、もっと出世していたろうと言うんだ」
「彼方にいれば、師匠の娘さんと一緒になっているんでしょうから、そんなこと、私というものゝ顔を潰した愛想尽かしじゃありませんか?」
「出世丈けの話だ。未練はない」
「出世なら、私もあなたのところへ来なかったら、決して負けませんよ。あなたが私を追い廻し始めた頃、私は縁談が降るほどあったんですから」
「それじゃお前はおれのところへ来たのを後悔しているのか?」
「然うでもありませんよ」