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しんりしけん

心理試験

江戸川 乱歩

「新青年」博文館、1925(大正14)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 22,728 字 · 46 页

青空文庫

その大金の秘密な隠し場所を探ろうとした。併し彼は、ある時斎藤が、偶然その隠し場所を発見したということを聞くまでは、別に確定的な考を持っていた訳でもなかった。

「君、あの婆さんにしては感心な思いつきだよ、大抵、縁の下とか、天井裏とか、金の隠し場所なんて極っているものだが、婆さんのは一寸意外な所なのだよ。あの奥座敷の床の間に、大きな紅葉の植木鉢が置いてあるだろう。あの植木鉢の底なんだよ。その隠し場所がさ。どんな泥坊だって、まさか植木鉢に金が隠してあろうとは気づくまいからね。婆さんは、まあ云って見れば、守銭奴の天才なんだね」

その時、斎藤はこう云って面白そうに笑った。

それ以来、蕗屋の考は少しずつ具体的になって行った。老婆の金を自分の学資に振替える径路の一つ一つについて、あらゆる可能性を勘定に入れた上、最も安全な方法を考え出そうとした。それは予想以上に困難な仕事だった。これに比べれば、どんな複雑な数学の問題だって、なんでもなかった。彼は先にも云った様に、その考を纏める丈けの為に半年を費したのだ。

難点は、云うまでもなく、如何にして刑罰を免れるかということにあった。