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しんれいさつじんじけん

心霊殺人事件

坂口 安吾

「別冊小説新潮 第八巻第一四号(創作二十二人集)」1954(昭和29)年10月15日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,557 字 · 52 页

青空文庫

その背中から真上へ突きでているものがある。短剣のツカだ。短剣はほぼその根本まで胸を突き刺しているのである。仙七はもう動かなかった。一同が抱き起してみると、彼はすでにことぎれていた。

★

次に各人の証言のうち主なるものを記する前に、当夜の各人の位置について図解を示しておくことにする。

各人の位置の図

Aボックス(即ち吉田八十松) B仙七 C茂手木 D岸井 E九太夫 F勝美 Gミドリ H糸子 I辰男

糸子の証言

――この短剣に見覚えがありますか

――あります。たしか応接間の飾り棚の中に人形だの船の模型だのガラクタ類と一しょに置き並べてあったものです。西洋の短剣で高価なものではないようです

――応接間にはガラクタを並べておくのですか

――商売が高利貸ですから差押えで仕方なしにガラクタがふえるんですね。家中どの部屋も床の間の違い棚や飾り棚の中にガラクタだらけなんです

――いつなくなったか覚えていますか

――そんなことは知りません

――皆さんが坐っていた場所はこうでしたね

――こうだったと思います

――誰かがお父さんの方へ歩く気配に気附きましたか

――全然