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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
落下傘はどんどん下におりて来ました。風の流れる方向をみさだめてあったものとみえ、じつにたくみに一彦たちのいるところへ、静かにまいさがってまいります。
「爺さん。僕、起きたい、起きたい」
「まあ、そうむりをいうちゃならねえ。お前は怪我しているということを、忘れちゃいけねえぞ」
そういううちに、塩田大尉のぶらさがっている落下傘は、ぐんぐん下におりて、一彦たちの頭上を越し、その奥の山腹にどさりと着陸いたしました。大尉はもんどりうって、山腹にころげるとみましたが、とたんに落下傘をゆわえたバンドをはずして、すくっと地上にたちあがりました。これをみていた一彦は、おもわず万歳をさけびました。
塩田大尉は、すぐさま一彦のところへ駈けよりました。そして少年をなぐさめるとともに、持ってきた衛生材料でもって、手ぎわよく一彦の患部を消毒し、仮繃帯をぐるぐるまいてくれました。
「塩田大尉、ありがとう。どうもありがとう」
「いや、なあに。それよりも一彦君は、じつに元気だね。水兵だって、君の元気には負けてしまうぞ。――そして、一体君はどうして怪塔から抜けだしたのか。帆村君はどうした。