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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
そのうちに玄関が見えてきました。
3
大利根博士の玄関には、有名な電話機があります。博士と面会することはなかなかむずかしく、まずこの電話機で用を足すよりしかたがないと言われているんです。
塩田大尉は一彦少年に目くばせして、この電話機を取上げました。
「もしもし、私は塩田大尉ですが、博士にお目にかかりたい急な用事があってまいりました」
と、大尉は相手に聞えているかいないかにかまわず、送話器へ声をふきこみました。
「……」
何の返事もありません。
「もしもし」
塩田大尉はさらに声を大きくして言いました。
「博士は留守なのですかねえ」
と一彦は大尉をみあげて言いました。
大尉は首をふりました。
「――なにしろ急用ですから、失礼して中にはいりますよ」
すると向こうから電話の声で返事がありました。たいへん低い声ですから、何のことかよくわかりません。
「何ですか、よくわかりませんよ。中へはいってから、改めてお話しねがいましょう」
と、大尉はすましたもので、玄関の扉をひらきました。
「さあ一彦君一しょに来たまえ」
大尉はずんずん上にあがっていきました。長いくらい廊下が、奥の方までつづいていましたが、そこをずんずんはいっていくのでありました。