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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

一彦はおどろいて、目をまるくするばかり。――

4

大利根博士の研究室に、博士の姿はどこにもなくて、ただ博士の声が飛出して来る蓄音機だけがあったのです。

じつになんという変な仕掛でしょう。

一体この変な仕掛は、なんのためにこうして博士の室内につくられてあるのでしょうか。またこの仕掛をつくったのは、誰なのでありましょうか。

「どうも変ですね。塩田大尉、これはきっと博士が人と口をきくのがいやなので、こんな仕掛で、来る人をみなおっぱらっているのではないでしょうか」

「うん、一応はそうも考えられるね。だが一彦君、一方ではこういうふうにも考えられはしないだろうか。つまり、大利根博士は、この研究室にたてこもっていると見せかけるため、わざわざこうした仕掛をしておいたとね」

なるほど、そういう場合もあるだろうと、一彦は大尉の考えに感心しました。

「でも、博士ともあろう人が、なぜそんなややこしいことをするのでしょう。いるならいる、いないならいないと正直に人にしらせるのが本当なのに、そんな不正直なことを博士がするでしょうか」

一彦はあくまで博士がえらい人だと信じていたから、こう申しました。