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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
霧はもちろんのこと、雲もなくなりました。ひろびろとした空です。地球はどこかへいってしまいました。下には蒲団の綿のような密雲が、どこまでもひろがっています。
「おい青江。貴様、とうとうがんばったな。えらいぞ」
と、兵曹長がはじめてちょっとほめた。
「ま、まだであります」
青江三空曹は、どなりかえしました。
「なに、まだだって」
「そうであります。私の得意とするがんばり方を十分に兵曹長にごらんにいれていないのであります」
「なんだって。まだがんばるというのか」
「いよいよこれから本当にがんばるのであります」
青江三空曹は、じゃまものもなくなってひろびろとした高空を、おもいきりぐんぐんと愛機をとばせていく。
そのあいだにも、小浜兵曹長はしきりと電鍵をたたいているのでありました。彼は偵察任務のため、青江機にのっているのであるから、機上から見た怪塔追跡の刻々の様子を、無線電信でもって本部へ知らせているのでありました。
「ただ今、わが青江機と怪塔ロケットの距離は一千五百メートル。あたりはすっかり晴れ、視界広し」
と打てば、やがて本部からは返電があって、さらに報告をさいそくして来るのでありました。