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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
もう大丈夫! 兵曹長は命をひろいました。
3
ひとり機上にかえった小浜航空兵曹長の胸の中は今は亡き青江三空曹のことで、はりさけるようです。
さっきまで、この機上に一しょにのっていたのでした。そして、たがいにはげましあいながら、怪塔ロケットを追いかけ、怪塔王とたたかって来たのでした。その勇しい戦友のすがたは、もはや機上に見られないのでありました。
「八つざきにしてもあきたりないあの怪塔王だ」
小浜航空兵曹長は、墜落していく愛機を、やっと水平にもどすことができると、目をあげて怪塔ロケットの姿を空中にさがしました。ところが、頭の上は雲ばかりで、もとめる怪塔ロケットの機影はどこにも見あたらないではありませんか。
「ちぇっ、うまく逃げられてしまったか。いや、青江のかたきをとらないうちは、どんなことがあっても逃しはせんぞ」
兵曹長は、飛行の邪魔になっている麻綱を、くるくると機内にひっぱりこみました。そして、勇敢にもぐっと上舵をとり、エンジンを全開にして、猛然と急上昇をはじめました。エンジンは幸いにも、たいへん調子がよろしいので、兵曹長は安心しました。
雲の中をぬいつつ、兵曹長の目は、あちらこちらにうごきました。