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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
と一彦がさけぶと、塩田大尉は、すぐとんで来ました。
「なんだ、一彦君。へんなものって、なにかあったのかね」
「ここにあるんです。黒ずんだ点々が、ずっとむこうまでつづいています」
「ほう、これか」
と、塩田大尉は床にしゃがみ、その黒ずんだ点々の一つを指先でつぶしてみました。
それは、ぐちゃりとつぶれました。そして赤黒い汁が、わずかとびだしました。
「ふん、これは怪しいぞ」
塩田大尉は、指のさきを鼻のさきにもっていきました。ぷうんと、生ぐさいにおいが、塩田大尉の鼻をうちました。
「あっ、これは血だ。血のにおいだ!」
「えっ、血ですか」
さあ、たいへんなものを見つけました。大利根博士邸の秘密室にこぼれていた古い血だまりは、一体なにを語るのでしょうか。
大利根博士は、どこへ行ってしまったのでしょうか。この血だまりのあることを知っているのでしょうか。
塩田大尉と一彦とは、しばらく無言で顔を見あわせていました。
2
大利根博士の秘密室に、点々と床をよごしている血のあと!
一彦少年はびっくりしましたが、その血の点々がどこへつづいているのかと、それをたどっていきますと、やがてそれは奥まった室の隅のところで、とまっていました。