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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

相手は、自分を俘虜にしたいのであって、殺すつもりではないことを、はやくも見ぬいていたからです。

果して、ピストルをもっていない十人ばかりの敵が、合図とともにどっと押しよせてきました。

「おお来たな。そんなに俺に投げとばされたいか」

兵曹長は、敵の来るのを待たず、自分からすすんで敵の一人にとびつき、

「やっ!」

と、あざやかな巴投で、相手の体を水車のように投げとばしました。

あとの敵は、不意をくらい、その場に重なりあって両手をつきました。それをみるや、兵曹長は栄螺のような拳固をかためて、手もとに近い敵から、その頬ぺたを、ぱしんぱしんとなぐりつけました。いや、いい音のすることといったら。――

4

小浜兵曹長は、海ばたで、十数人の敵を相手に、格闘をつづけています。

「どうだ、降参か!」

と、叫んでは投げ、どなっては投げ、敵の荒くれ男をころがしました。

ルパシカ男も黒人も、地上に匐って、うんうんうなっています。

どーん。

どどどーん。

その時です。銃声が大きくひびいたのは。――

「ううむ」

小浜兵曹長は、ばったり砂上にたおれました。

敵はピストルを発射したのです。