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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页
「あっ、それはいかん。あぶない。ちょっと待ってくれ」
と、俄に怪塔王はうろたえ、ぶるぶるふるえ出しました。
「あははは。これがそんなに恐しいか。だが、これは貴様がつくったものではないか」
小浜兵曹長はあざ笑いました。彼がいま小脇にかかえて、怪塔王に向けているのは、怪塔王秘蔵の殺人光線灯でありました。この殺人光線灯は、かねて帆村がその在所をさがしておいたものです。このたびはこっちが失敬して、逆に怪塔王の胸にさしつけたというわけです。
ピストルも小銃も、一向に恐しくない怪塔王ではありましたが、この殺人光線灯を見ると、まるで人間がかわったように、ぶるぶるふるえだしました。それもそのはず、殺人光線灯がどんなに恐しいものであるかは、それをこしらえた怪塔王が一番よく知っているわけですから。
怪塔王は、(困ったなあ。たいへんなものを、盗まれてしまった!)と、歯ぎしりをしましたが、もう間にあいません。
小浜兵曹長は、ゆだんなく殺人光線灯の狙を怪塔王の胸につけ、もしもうごいたら、そのときは引金をすぐ引くぞというような顔をしています。
「そこで、怪塔王どの」
帆村は、横の方から怪塔王のそばに一歩近づきました。