轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

かいとうおう

怪塔王

海野 十三

「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1938(昭和13)年4月8日~12月4日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 167,635 字 · 337 页

青空文庫

「あっ、しまった」

一声、帆村が叫びました。

彼は、濡れた岩根を、あっという間に足をふみすべらし、ずるずるどすんと、博士の立っている足もとまで、すべりおちました。

2

どうも腑におちないのは、大利根博士のそぶりです。

いまも、帆村が足をふみすべらせ、あっという間に博士の足下まで岩根をすべりおちたから、博士もはっと気をのまれて、それっきりになりましたが、もしもあのとき、帆村が岩根をすべりおちないで、断崖につかまってぐずぐずしていたら、博士は次にどんな怪しいふるまいをしたかわかったものではありません。そういえば、あのとき博士の右手は、すでに腰のあたりへのび、なにかピストルでもさぐろうとしたらしいのです。

ずるずると博士の足下にすべりおちた帆村探偵の幸運を、彼のために祝ってやらねばなりません。そうです、全く油断のならない大利根博士と名乗る人物です。あの利口な帆村探偵も、まだそれと気がついていないのでしょうか。あたりには、味方の姿もない恐しい洞穴の中です。一度は危難をまぬかれた帆村のうえに、これからどんな禍がふって来ることでしょうか。それを思うと気が気ではなくなります。