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かいむ
怪夢
夢野 久作
「文学時代」1931(昭和6)年10月、「探偵クラブ」1932(昭和7)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,100 字 · 23 页
並んだり重なり合ったりしながら、お墓のように垂直に突立っている。蒼白い、燐光の中に、真黒く、ハッキリと……数えてみると合計七本あった。
私は唖然となった。取りあえずドキンドキンと心臓の鼓動を高めながら、二三歩ゆるゆると後じさりをした。
するとその巨大な海藻の一群の中でも、私に一番近い一本の中から人間の声が洩れ聞えて来た。
低い、カスレた声であった。
「モシモシ……」
私は全身の骨が一つ一つ氷のように冷え固まるのを感じた。同時に、その声の正体はわからないまま、この上もなく恐ろしい妖怪に出遭ったような感じに囚われたので、そのままなおもジリジリと後じさりをして行った。すると又、右手に在る八尺位の海藻の中から、濁った、けだるそうな声が聞えて来た。
「……貴方は……金貨を探しに来られたのでしょう」
私の胸の動悸が又、突然に高まった。そうして又、急に静かに、ピッタリと動かなくなった。……妖怪以上の何とも知れない恐ろしいものに睨まれていることを自覚して……。
すると又、一番向うの背の低い、すこし離れている一本の中から、悲しい、優しい女の声がユックリと聞えて来た。
「私たちは妖怪じゃないのですよ。