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かいきじんぞうとう
怪奇人造島
寺島 柾史
「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页
その騒動の中を、巧みに抜けて、動力所へ駈けつけたのは日本少年、僕である。
「おお、旨くやってくれたな」
老博士は、うれしげに僕を迎えた。
「あなたも……」
「うむ、動力所も、首尾よく手に入れたよ」
「みんな、こちらへ押寄せて来ます」なるほど、火焔の明りでみると、人々は、悪鬼のような叫びをあげながら、動力所を目指して駈けてくる。
「なアに、大丈夫。敵の心臓をつかんでいるから、すでに味方の勝利じゃ」
老博士は、落着払っている。動力所へ押寄せた一隊は、威嚇するように、小銃を乱射した。わアーという、喚声をあげながら、悪鬼のように、
「博士をやっつけろ」
「おやじを殺せ」
「日本の少年を、渡せ」と、口々にわめき立てて、すでに、扉の近くまで迫った。
島が溶けだす
このとき、老博士は、動力所の窓から、ぬっと首を出した。
「あぶない!」僕は、引止めたが、それには耳を藉さず、はや間近に迫った一隊に向って、皺枯れ声だが、しかし太い力のこもった声で呼びかけた。
「射撃を止めろ。止めないと、人造島の心臓部を止めてしまうぞ」この一言が、たしかに利いたとみえて、敵の一斉射撃が、急に止み、一隊は、その場に釘付にされたかたちとなった。