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かいきじんぞうとう

怪奇人造島

寺島 柾史

「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页

青空文庫

「いや、この場合、君の果断の行為は、結局、われわれを救ってくれたのじゃ」

「でも、そのために、みんな溺死します」

「が、動力所を、あいつ等の手に渡せば、君とわしが殺されるだけじゃないか……。おお、そういううちにも、島が溶けてくるだろう。死の直前に、人造島の溶けるさまを実際に見ておこうか」

老博士は、悠々と、戸口の方へ歩きだした。科学に殉ずる、老科学者の態度に、敵も味方も、今は驚嘆せぬものとてない。

運命の方船

やがて、窓から戸外を眺めていた一人が、甲高い声で叫んだ。

「あっ、大変だ。島が溶けだした」

「えッ!」予期していたことだが、これが余りに突然だったので、人々は色を失って、われ先にと、戸外へ飛出した。彼等は、氷上を右往左往した。なかには、動力所の屋根へよじ登ろうとする者、相抱いて泣いている者もある。いやはや、白人共の、狼狽ぶりは、滑稽なくらいだ。

「氷が溶けるのは、当然ではないか。周章ててはいけない」老博士は、人々をかえり見て、こう戒めるが、刻々に迫る死を怖れて、人々は、なおも、右往左往して悲鳴をあげている。老博士は、木沓の先でコツコツ氷を叩いてみて、僕をかえりみて云った。