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かいきじんぞうとう
怪奇人造島
寺島 柾史
「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页
「そうじゃ、わしは、生きた人間を殺さぬ。そんな殺生はせぬ」
「でも、僕をまた、殺すつもりでしょう」
「いや、誤解してはいけない。わしは、死んだおまえを、元通りに死なしてやるまでさ。けっして、死んだ人間を生かしたままにはせぬよ」
「…………」陳君は、怪老人の不気味な一言に、ぞッと身顫いして後退りした。老人は、自ら亡霊ではないと云ったが、血の通った人間とは信じられない。人間の心臓を勝手に取替えたり、屍骸に息を吹き込んで、また元通り屍骸にしてしまうなぞ、亡霊でなければ、悪魔の仕業だ。
「油断がならぬぞ」陳君は警戒しはじめた。虎丸は、心臓を失い、両足を失って相変らず、幽霊のように、名も知らぬ海洋をひょうひょうと漂流している。
「戦おうか」だが、仮にも、怪老人は、自分にとっては生命の恩人だ。他人の心臓を取って、移し植え、血の通う人間にしてくれた恩人だ。たとえ、亡霊でも、悪魔でも、ふたたび自分に魔の手を伸し、心臓を抉り取ろうとするまでは、こちらから手出しはできないとおもった。
真夜中ごろ、人の気配を感じてふと眼が醒めた。
「誰だ!」低く、しかも力の罩った声で叫んで、半身を起し、四辺をみると、白衣の怪老人が片手にメスを握り、そっと、陳君の眠っているベッドに近づいて来たのだ。