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かいきじんぞうとう
怪奇人造島
寺島 柾史
「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页
「どうして、僕等四人だけが、気が狂わないのだろうか」僕は、陳君に訊ねた。陳君の答えは、頗る明快だ。
「君は、日本人だろう。日本人は、鉄のような心臓を持っているからだ」
「では、二老人は?」
「二老人は、ドイツの科学者だ。ドイツ人の沈着、剛毅な精神力が、この心理的な残虐に堪え得るだろうとおもう」
「なるほど……君は?」
「僕は、中国人だ。東洋人は、概して西洋人よりも心臓が強健だ。けれど、日本人にはかなわぬよ。しかし、僕は、安南人の巨きな心臓を移し植えられたので、そこで、君の鉄の心臓に負けないくらい強いのだ」しかし、いくら剛毅な精神の所有者でも、鉄の心臓の持主でも、この難局を打破ることは出来ないだろう。技術員たちより、一日か二日生延びるだろうが、やがて、同じ運命に陥るのはわかり切っている。
「どうだろう。この船から、海中へ飛込んで見たらどうだろう」と、陳君は奇抜なことを云う。
「すると、どうなるかね」
「海へ飛込んで、海中深く潜りながら、大渦巻の圏外へ脱れるのさ。僕は、鉄の心臓の所有者だから、一気に脱れ出られるとおもうよ」「だが、この大渦巻は、表面だけではないのだぜ。