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かいきじんぞうとう
怪奇人造島
寺島 柾史
「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页
「そうだね。三日間の生命といったが、あるいは、きょう明日にも、気が狂うかも知れない。見給え。あの方船の生存者たちは、すでに気が狂っているではないか」なるほど、彼等は、もう沈着、自制を失って、甲板上で、狂おしく泣き叫びながら、お互の身体を引掻いたり、叩き合ったりしている。
「おお、あいつ等は、もう気が狂いかけたのか」
僕は、暗然となった。僕等もまた、ほどなく、気が狂い、心臓が破裂して、幽霊船と、運命を倶にするのか。
恐ろしい一夜が明けた。
幽霊船は、相変らず、大渦巻の中心を、独楽のように、急速度に回転している。
睡眠不足と、心理的な疲労のために、僕は、まだ正気なのかどうかを疑って、四辺を見廻した。
二老人も、陳君も、ゆうべと同じ箇処で、宿命の死を待っている。彼方の中甲板をみると、約半数は、すでに気を失って、海賊たちの屍骸に折重って斃れ、あとの半数は、わずかに手足を動かして藻掻いているが、もう正気の沙汰ではない。
僕は、しかし正気だ。まだまだへこ垂れない。陳君はと見ると、彼も、唇を噛みしめながら、じいと堪えている。二老人も、沈痛な顔に、疲労の色をみせているが、二人は、最初から宿命とあきらめているので、気を失うことはない。