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かいきじんぞうとう
怪奇人造島
寺島 柾史
「日本少年 付録」1937(昭和12)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 43,159 字 · 87 页
幸いに、風が強く、僕等をのせた怪しげな風船は、幽霊船の上空を離れて、大渦巻の圏外へ吹き飛ばされようとする。
「さようなら……」
「さよなら!」僕も、陳君も、泣きながら叫んだ。
風船の墜落
僕等を乗せた風船が、風に吹きつけられて、やっと、大渦巻の圏内を脱したとおもうころ、予期したとおり、いや案外にはやく麻袋の風船は、浮揚力を失って、大海原に墜落した。
「あッ!」僕も、陳君も、絶望の叫びをあげた。
が、ふしぎにも、僕等は、それなり海底へ沈まなかった。
「おや」「おや!」
横に倒れたまま、海に墜落した風船は、海底に沈まず、ふわりと浮んだままだ。
二人とも、水に溺れかけながら、顔を見合った。
「風船が水に沈まないぜ」
「ほんとうだ。……麻袋に蝋を塗ってあるからだろう」
「それにちがいない。試しに、あの風船に乗って見ようか」
「よかろ」二人は、ハンモックを離れて、畳のように海面に拡がった風船に這い上った。大きな麻袋なので、二人を乗せても平気だった。
「天佑天佑」僕らは手を拍ってよろこんだ。
「思慮の深い博士の考案だ。これくらいのことは当然だろう」
「まったくだ。こいつは、まるで革の船みたいだね」